
芭蕉の発句も難しいが連句となるとなかなかとっつきにくく、大変に好きなのだが時間をかけて少しづつ慣れるようにしている。最近はそれでもかなり面白さが分かってきたようである。そのなかでも芭蕉七部集の幸田露伴の評釈が大変に勉強に役立ってくれる。今秋の一時帰国した折に日本から持ち帰った本のなかにつめていたものである。七部集のそれぞれの名前もいいが、今の季節を踏まえて〔冬の日〕をよく読んでいる。
それを特に意識したわけでもないが冬の日のヴァントゥー山と、手前に広がる白樺の林を構成材料にしてF8号のキャンバスに描いてみた風景画がこれである。いままではなんとなく白樺の木や林などを描く時に硬くなっていた腕が最近はようやく自由さを得てきたようで、軽く、楽しみながら画面に溶け込ませるようになってきた。木の幹の白さにこだわりすぎていたのであろうか,木や林全体を一つの要素に考えていくと急に色面としての役割が強まったようである。
別に読書が自分の仕事の絵画に特別に役立つのかどうかは分からないが、趣味としては音楽を聴くのとともに本を読むのも大変に好きである。