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リンゴと湯のみ





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フランスサイズのF2号の大きさに静物を構成してみた。日本ではあまり2号という大きさのキャンバスを使用しないし、またフランスサイズと日本サイズとは若干寸法が違ってくる。それで日本で額縁を調達する時にフランスサイズのキャンバスを用いていると大変面倒なことになる。これは戦前、日本が尺貫法を採用していたのを戦後メートル法に換わって、変わったのはいいとしてかつての実寸をそのままにメートル法に換算したために端数が出てきた、その端数の分がフランスサイズとの誤差になってきて、たいへんややこしいことになるのである。


ともあれこれは3号とサムホールの間の小さな画面である。そこにふたつのリンゴと湯飲み、それに布だけの単純な構成で、出来るだけ実在感のある静物画を目指してみた。実在感といってもモチーフになる対象物の、いわゆる質感や形態などの個々の真実味に迫っていこうというのではなく、画面全体としての存在感、絵そのものが存在しているといったような実在感のことを意図してみたものである。


結果的には単純化がすすんできているようで、あまり表面の美しさなどには目がいかなくなってきた。これはいいことなのかどうか、これからの判断になってくると思う。





by papasanmazan | 2017-12-20 04:03 | 小さな絵 | Comments(2)
Commented by みみずく at 2017-12-28 20:20
どこか一ヶ所でも色を入れたら又は色を抜いたら 画面がたちまち崩れてしまう・・・そんな気がしてしまうほど明快かつ揺るぎのない素晴らしい作品だ。内面から輝くとはこう云う事なのかと納得しながら拝見している。
Commented by papasanmazan at 2017-12-29 22:35
みみずく さん、こういう静物画をもっと描きたいと思います。目先の変わったモチーフや雰囲気だけを当てにしたような画面にながれないようにしたいのです。一時的な流行を追うのではなく、美しさの底辺に流れているものを掴み取りたい気持ちです。
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