
ドルドーニュはしっとりと美しい風景であるが霧も多い地方である。今回の滞在ではロカマドールを水彩で描こうと思っていたのだが、二度とも霧でまったく仕事にならなかった。またそこに向かう車中からもあちこちに雲海がただよい、それはそれで美しいのだが制作するのには大いに邪魔立てになってくれた。
しかたなくロカマドールをあきらめて宿泊地に戻ろうとしたら家内がサン・シル・ラポピーの景色が圧巻だという。意見を聞いてそこに向かった。ロット川辺に切り立った岩盤に集合する村の建物の一群はなるほど周りの自然とあいまって圧巻である。
これを水彩にしようと思った。場所を探す、いくつか候補地を見つけるが、何せ観光客があちこちウロウロしている、これが一番苦手なのである、しかし場所が場所だけに観光客には目をつむり、モチーフだけに目を向けて一枚の作品を仕上げた。
全体の垂直感を出してみたかった。