ヴナスクの村の入り口に大きなプラタナスの並木がある。白樺に囲まれた修道院を描いている時に、もう何年か前にこのプラタナスが描けたらなと思っていたのを思い出した。このプラタナスを取り入れて、遠望する風景とを巧く構成出来ればいい絵になるとは思ってはみたものの少し制作に踏み切るには自信がなかった。プラタナスの群れと廻りの空間とを巧くつなげられるかどうかが疑問であった。
そのまま何年か過ぎたのだが今年もう一度実物を見直してみてなんとかいけそうだと思いF15号のキャンバスに制作してみた。小高いところに上がったところにイーゼルを据え、できるだけ遠望の範囲を広くしてみた。普通で言うとやはりむつかしい構図だとは思う、とにかく安定感が少ないのである。遠くの水平線とプラタナスの上限があわさりすぎているからである。
それを始めから承知での制作である,何年か前にためらったのもその構図上の問題に気づいていたからである。しかし少しは制作も進歩しているのであろう,思っていたよりも力まずに進めていけた。ものそのものにこだわりがなくなって、自由な気持ちで描き続けれるのだが、そうかといって恣意的になりすぎるのも困ったものである。その辺りの兼ね合いがスムースになって最近の制作は楽になって来た。