糸杉と農家

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規格サイズとしては一番小さいF0号(180×140㎜)のキャンバスに家の近くの畑の中にある糸杉と農家を描いてみた。このようなごくありふれた風景を探し求めている。何でもない平凡な風景だがイザ探してみると案外少ないものだ。小さな画面にどこといって特徴もない風景を描きながら、そこに強い存在感と奥の深さを表わしてみたいというのがこの二、三年来思っているところである。


飾りのない実直なものといったらいいのだろうか、とにかく表面的な美しさを排したい。そうかといってやはり芸術としての存在であるから決して現実の風景を写すわけではない。このあたりがなかなか難しい制作の実際のところである。


昭和の初期、文楽の太夫で名人といわれた三世竹本津太夫の話である。ある時津太夫の家で、綱太夫、若太夫の二人に稽古をつけたそうである。二人が語っているのを実に細かいところまでなおしてくれる、稽古が終わって帰りに二人が、舞台で語る時の津太夫は実に大まかなのに稽古を付けてもらうと全然違った細かさで、二人は不思議がった、ということである。三世の実子、四世津太夫のいうには、親父は結局何もかも分かっていて、それでもって舞台では大まかな浄瑠璃を語った、ということである。もう一つ付け加えると、三世は、浄瑠璃を語るのに、つくったらアカン、とよくいったそうである。


絵の制作も、つくったらアカン、ということをよく覚えておかなければいけない、と若い時に思ったことがある、今でも忘れずにいる。




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by papasanmazan | 2017-02-18 22:12 | 小さな絵 | Comments(0)
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