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ヴナスクへの坂道

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横浜での個展を終えて、南フランスに戻ったのが11月の半ば、もう一ヶ月以上にもなるのだがようやく油彩画が一点完成した。制作を怠っていたわけではないがいつもの癖で10点位の作品を並行して描いているのでこういう結果になってしまう。P25号に描いたヴナスクの村の坂道である。今までにも何点か少しづつ角度を変え、キャンバスの大きさもその都度違え、制作する季節も異なって描いてきた風景ではあるがやはり何度描いても重みのあるいい風景だと思う。

晩秋から冬になろうかという実景ではあるが季節感を出そうというのは主眼ではなく、画面の動き、流れを強調しようとして実景の色彩を取り入れていく、という考えで制作している。したがってロマンチックな雰囲気や、『癒し』を求めたようなものは何もない、ただ油絵の画面が一つ出来上がっているだけのものである。

絵というよりは物といったほうが分かりやすいかもしれない。若い頃によく読んだリルケのロダン論の影響が未だに消えないでいるのはよく自覚しているところである。しかし近代以降の絵画を理解する上でタブローという考え、または見方はどうしても避けてとおることは出来ず、このあたりの葛藤を自分なりにおしすすめてきたのが現在のこの作品につながってきていると思う。



by papasanmazan | 2016-12-24 19:11 | 風景画 | Comments(2)
Commented by みみずく at 2016-12-26 23:49
個展とは自分の作品と客観的に対峙し、進む道を見極める場…とでも言うのだろうか…今までもそうだったように、個展後の画伯の作品は必ず進化している。この作品もそうだ!家も岩も松も一体化し、画面全体の中の一部として無くてはならない存在になっている。タブローと言う言葉がよく解る気がする。この作品から思うと今までの作品が一般的だったように思えてくるから不思議だ。
Commented by papasanmazan at 2016-12-27 00:55
みみずくさん、タブローという考え方を理解していてだけたようで大変うれしいです。ちょっとした画面に対する見方、考え方なのですが、これがなかなか難しいものです。またタブローの考えにのっとって制作していくのも余程の気持ち、頭での整理が必要です。分かっていてもなかなか出来ない、というのは日常生活でも同じですが、絵画の制作上でもいえることです。
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