
フランスのお城を見て回っていると必ずランパール(rempart)という言葉を聞く。城壁という言葉である。昔の城壁がそのまま残っていたり、一部壊された後の石造りの壁が現在でも住居に利用されたりしていて、歴史を感じさせるどっしりとした景観をみせてくれる。
このヴェナスクの坂道に見える左端の構造物がランパールで、そのまま村の中に入って見ると、新しく建て増された各々の家と、昔からの城壁とがどこからどこまでとは区別がつかないほどうまく調和して一つの共同体をなしている。
昔からのカトリックの国であるフランスは当然教会を中心に都市や村が構成されるが、その周りはこうしたランパールに囲まれた城塞としての機能も見せている。
この何年かはヴェナスクの坂道や教会を作品の主題にしてきたが、以前はランパールのほうに目を奪われていた。今年の夏になって久しぶりにもう一度ランパール、建物を主にした考えで制作してみた。F10号の油彩である。
なおこのヴェナスクという村の発音は、ヴナスクとばかり思っていたが、今年のトゥール・ド・フランスのときのテレビでの実況や、サクランボ祭りの時のアナウンサーはヴェナスクと発音していた。文字のつづりからいうとヴナスクかとも思うがヴェナスクということにしておく。他の都市でもモンプリエという人もあればモンペリエという人もある、どちらでも分かることはもちろんである。
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