
何年振りかでロック・アルリックの村を描いてみた。ほぼ12号大の特別寸法のキャンバスで、割合正方形に近くなっている。最近はバルーでよく仕事をしているが、バルーからもう一つ奥まったロック・アルリックはご無沙汰だった。
岩に張り付いたように家々が織りなす光景はまるで映画のファンタスチックなワンシーンのようである。そしてその背後にはダンテル・ド・モンミライユの岩に囲まれた荒々しい山が迫っている。
もうこの風景自体が既に絵になっている。よくこういった風景を目の前にして、ああ、これは絵のように美しい、と人は口にする。ここに画家にとっては大変危険な落とし穴がある。
よほど自分の中に制作の信念を持っていないとモチーフになる風景に食われてしまうのである。下手をすると出来あがった作品は絵はがきまがいのものにしかならない場合も出てくる。要するに絵を描いているのではない、写真を撮っている訳である。
と言ったところで、出来るだけ細部にこだわりを持たないようにして制作してみた。ちなみにこのロック・アルリックの村の人口は100人以下だそうである。
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