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ロック・アルリックの村

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何年振りかでロック・アルリックの村を描いてみた。ほぼ12号大の特別寸法のキャンバスで、割合正方形に近くなっている。最近はバルーでよく仕事をしているが、バルーからもう一つ奥まったロック・アルリックはご無沙汰だった。

岩に張り付いたように家々が織りなす光景はまるで映画のファンタスチックなワンシーンのようである。そしてその背後にはダンテル・ド・モンミライユの岩に囲まれた荒々しい山が迫っている。

もうこの風景自体が既に絵になっている。よくこういった風景を目の前にして、ああ、これは絵のように美しい、と人は口にする。ここに画家にとっては大変危険な落とし穴がある。

よほど自分の中に制作の信念を持っていないとモチーフになる風景に食われてしまうのである。下手をすると出来あがった作品は絵はがきまがいのものにしかならない場合も出てくる。要するに絵を描いているのではない、写真を撮っている訳である。

と言ったところで、出来るだけ細部にこだわりを持たないようにして制作してみた。ちなみにこのロック・アルリックの村の人口は100人以下だそうである。


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by papasanmazan | 2016-08-25 02:08 | 風景画 | Comments(2)
Commented by カワセミ at 2016-08-29 16:54
この場所での作品を拝見するのは本当に久しぶりですね。当初はこのような所が本当にあるのかと不思議でした。岩と家との関係をみごとに色の変化で表現されていたのが印象的で今でも忘れられません。こうして拝見していると、背景の山との関係がこのようになっていたのですね!壮大ですね~ この場所が積み重ねてきた歴史の深ささながらに、画伯が対峙されている絵への思いがこの画面に凝縮されているように感じます。
Commented by papasanmazan at 2016-08-29 18:24
カワセミ さん、久しぶりにこの場所で描いてみて改めて景観にうたれるとともに、前とは違った表現もできそうに思いました。この絵は旧作と同じ構成ですが、もう一枚横長の25号くらいのものも始めています。今年の秋の横浜での個展のポスターにはこの12号大の絵を使うつもりです。
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