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レ・ボーの要塞

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今ではフランスの観光地の中でも有数の一つになっているレ・ボー、オリーブやブドウ畑の緑の中に囲まれた岩山をそのままに利用した中世の城が大きな姿を残している.春、夏,秋と観光客を惹き付ける名所ではあるが制作するのには人の多すぎるのが気になっていた。

昨年の夏,この場所からアルピーユの山を描いた時に,この次は冬の時期に来よう,そしてもう一度この要塞の岩山をモチーフにしようと決めていた。このようにしてP25号の油彩作品が出来上がった.とにかく冬の季節はほとんど人出もなく、落ち着いた環境で制作が集中出来てありがたい

まだパリ近郊のエポンヌに住んでいた頃,親戚の人たちを連れていちど南仏に来たことがあり、レ・ボーも訪れた。その時に泊まったホテルがちょうどこの制作をしているオリーブ畑の真向かいの所にあり思い出深い場所である。最初に見たレ・ボーの印象はまことに強烈で,こんな風景を本格的に制作できるのだろうかと呆然と見とれていたことを今でも覚えている。

まさか南仏に住み,レ・ボーを何度も描けるようになるとは夢みたいな話で幸せなことである。制作していても本当に楽しい場所である,右を向いても左を見ても、360℃視界が広がっている。車で5分も走ると城の反対側からレ・ボ−の村の全景が見渡せ、これも大いに描いてみたい風景である。

オリ−ブや雑木、斜面を這い登ってゆく草の緑のむこうに要塞がそびえている。以前はこれらの構成要素がそれぞれに対立したものとして画面に定着させようと思っていたが、この頃ではほとんどそういった考えが浮かばず、全体が混沌としたものとして感じられるようになってきた。あるいは年齢のせいで頭の働きが鈍って、ボケて来たのではなかろうかと危ぶんでいる。


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by papasanmazan | 2016-01-22 17:28 | 風景画 | Comments(2)
Commented by みみずく at 2016-01-24 16:04 x
これはすごい!年をまたいで又一段と画伯の絵は進化している。モチーフを目の前にしながそれらを自分の精神のなかで新たに組み立てたような 凄みさえ感じる作品だ。描いている途中に少しでも理屈や常識が入るとこの作品はたちまち崩れていっただろう・・・ブログの中でも繰り返し繰り返し目指すものを問いかけ作品の中でかたちにしてこられていたが、それらが無心のうちにこの作品に現れでたのだろうか。この先画伯はますます孤高の道を一人進んで行かれる予感がする。
Commented by papasanmazan at 2016-01-28 13:27
みみずくさん、自分の中に何か今までとは違ったものが芽生えてきているのを感じます。失敗したり、経験を積んだり、色々な時間や空間が大きなひとつのものになりつつある、といったような感じです。ここはよくみつめておかなければならないところだと思います。
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