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卓上のザクロ

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水彩で試みていたザクロ三つの油彩がようやく出来上がった.F3号のキャンバスで、小さな画面なのだが相当に時間がかかった作品である。モチーフとしては水彩と全く同じだが油彩の進行はまた違ったものになる。特に物と物との接点、例えばザクロと机、ザクロとナイフなどの接するところが油彩の場合色彩の入り方が複雑になってくる傾向がある.

水彩の透明性でいうと余り色の重ね過ぎは的確なヴァルールが得られないという性格が出てくる.色の味としては魅力があるのだがヴァルールの確実さはやはり油彩のほうに利点がある。そのぶん油彩は制作が長くなっていくのだが、油彩はどんどん上から上へと色を重ねて修正が出来る、というのは間違った考えである.油彩も本来は透明感が主体となって考え出されたものであり、どちらかと言うと水を媒介とする水彩のほうがテンペラやフレスコ画と同じように膠を媒介とする日本画に近い不透明性が特色である。ただ透明水彩の場合は水を多く使って描いていき、原則として物の明るさを紙の地質の明るさを活かして現してゆき、白を混ぜた明るさを使わないということで透明感が残るのである。

油彩が不透明で、盛り上がった絵肌で、豪快な表現である、というのはとくに日本の近代絵画がその初期からたどって来た悪い風習だと思う.



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by papasanmazan | 2015-12-28 19:03 | 静物画 | Comments(2)
Commented by カワセミ at 2016-01-02 14:45 x
水彩と同じモチーフでも全く違った雰囲気になり興味深いです。水彩油彩それぞれの特性を知ったうえで画材を扱う 当然のことでありながら以外に何も知らないで描いていたかも知れません。画伯のブログで色々な事を教えていただきとても勉強になります。本年もどうぞよろしくお願いします。
Commented by papasanmazan at 2016-01-09 07:12
カワセミさん、昨年末からフランスも暖冬で、雨の日も多くなかなか戸外での風景が進みません.しかもいつもの癖であれやこれやと平行して描く絵が多くなかなかブログにもいきつきませんが、今年もボツボツやっていきたいと思っています.どうぞご意見の投稿をよろしくお願いします.ほとんど他人の意見を求める機会がないので、大いに助かっています。
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