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プロヴァンスの松と平野

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南フランス、プロヴァンスの小さな村マザンに越してきてもう十年以上になる。ようやくこの風土にも慣れてきて、緑の色の豊富さにいっそう喜びを感じるこの頃なのだが、絵の制作についても同じような題材を扱いながらも徐々に理解の度合いが深まってきたような気がする。このプロヴァンスの松と平野という主題にしてもすでに十枚位はキャンバスを変えて描いてきたはずだが、完成したのもあれば途中で放棄したのもふくめて未だにこれでよし、というものが出来なかった。

今年の始めからなんとかこのモチーフを使った風景画の、いわば決定的な作品を創りたいというのが一つの計画であった。今回はF20号のキャンバスを選んで、この制作の場所はちょっとした丘の上まで登らなければならないので、年齢と体力を考えた上で覚悟を決めて通ったのである。おまけに今年のフランスの夏は記録的な暑さだったので少し苦しい制作になったのだが、成果が大いに上がったと言えそうである。

見た目には構図というのか、図柄というのか、そういったものは以前の作品とはほとんど変わらないものが出来上がったわけだが、自分自身、これでいい、といってよさそうなものになってくれた。色彩というものが自然やものの説明だけに終わらず色塊そのものとして画面に重層を与えていけるような働きが表わせるようになってきた。一つの制作のコツといえばいえるのかもしれない。あるいは自然離れ、ともいわれるかもしれない。

ただそれだけのことではあるが心の底から笑みがこぼれそうな気持ちである、これ以上のことは何も言うまい、今後の制作につなげていくだけである。ようやく現実として芸術、美、そういったものに直面出来そうである。



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by papasanmazan | 2015-09-05 20:16 | 風景画 | Comments(2)
Commented by みみずく at 2015-09-05 23:00 x
今まででも十分素晴らしい作品ばかりだったが、この作品を拝見すると今までの作品に少し靄がかかっていたのか?と思ってしまうほで透明感のある作品だ。松が変わったわけでは無いただそこに立ち続けていただけだが、画伯のこの松はより純粋になり新鮮な感覚がそのまま息づいているのが感じられる。こうなることをこの松はじっと待っていたのだろう・・・
Commented by papasanmazan at 2015-09-10 09:32
みみずくさん、フローベルのボヴァリー夫人について、マダム・ボヴァリーは私だ、と言っている言葉は大変重要なことがらだと思います。芸術家とその作品、芸術家の人生のギリギリのところを言い表しています。決してボヴァリー夫人は私の分身だとか、性格を投与している、とかいうような浅い考えで言っている言葉ではないのです。私もフローベルにならって、この松は私だ、といえるような作品を一生めがけていかなければと思います。
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