人気ブログランキング | 話題のタグを見る

橙土の坂

橙土の坂_c0236929_0403051.jpg


今から三十年ほど前になるが、三重県の鬼ケ城を訪れたことがあって大変に描いてみたいと思ったことがある。具体的にどういったものになるかというのは分からなかったが、なんとなくオレンジとブルーの色彩が散らばって岩の面を構成し、その総合で洞窟めいたものが出来ないだろうかと想像していた。おそらく相当抽象的な表現を考えていたのだろうが絵画技術もまだ巧くなかったし具体的な画面も思い浮かばずとうとう夢物語に終わってしまった。しかしその時の描いてみたいという衝撃はその後三十年忘れられなかった。

パリ近郊に住むことになり、また南フランスに居を変えてから、たとえばルシオンの赤土を見た時などから何かを思い出し始めたのである。徐々にそういった黄土や赤土などの地質に慣れ出してからようやくみつけだしたのがこのP10号、縦型の橙土の坂である。

これこそ三十年前に自分がしてみたいと思った画面の構成である。日本の三重県の景色と南フランスの名もないような森の片隅の風景との違いはあっても絵画上の表現欲求は全く同じものである。実に自分が探し求めていたものをようやく探り当てたといっていい出来上がりになった。面と面とがぶつかり合い、色彩と色彩が引っ張り合ったり重なったりしてエネルギーの調和を見つけていくような絵画、これはこのあとの制作に一つの指針を与えてくれたように思う。



にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村
by papasanmazan | 2015-08-03 00:37 | 風景画 | Comments(2)
Commented by ono7919 at 2015-08-06 20:41 x
こう云うことだったのですね!熊野の獅子岩を画伯はどのように表現されるのだろうと、以前お聞きしたときからずっと気になっていました。この作品を拝見して目の前が開けたような気がしました。赤い岩、黄土の岩から更に暖色と寒色のせめぎ合いは確かなものとなって進化し、過去の霧も晴れていく。すごいですね~ これから先が益々楽しみです。
Commented by papasanmazan at 2015-08-11 02:50
ono7919さん、ここからあとが大変重要で難しくなりそうです。まずはゆっくり何を描けばいいのかを考えてみたいと思っています。あまり大きくない画面が今のところはいいのではないかとも思うのです。
<< 梨とネクタリン 白い岩と白い道 >>