人気ブログランキング | 話題のタグを見る

黄色い岩

黄色い岩_c0236929_19362124.jpg



昨年初めてこの黄色い岩をF15のキャンバスに描いた時はそれなりに満足したものになったのだが,少したってからもう一度その場所でおなじモチーフを眺めているともう少し、ほんの5メートルほどなのだが対象に近づいて描いた方がいいことに気づいた。同じ風景であれ静物であれそういうことはよくあることで,経験でいうと大抵は作品として前のものよりよくなるものである。

今回もキャンバスは同じ大きさF15号なのだが,岩の占める面積が多くなり、立って眺めていても存在感の強い風景が感じられた。出来るだけそういった強さに近づいた表現を心がけてみた制作である。画面上部の木立や緑、空などは描き込みを少なくし、岩の重なりの感じを主に考えてみたのだが,ついつい上部の細かい部分まで手を入れてしまって,その都度大きくあたり直すこと数度に及んだ。最後にはかなりの時間アトリエに立てかけて眺めていた。

この黄色い岩や赤い岩などは一般的には理解してもらいにくい絵なのだろうが,描いている本人は大変好きなモチーフである。制作として面白いのであるが個展などに出品するのにはためらわれる,現に昨年の個展の時には前のF15号はフランスに置いたままであった。今年の分も今のところどうしようかと迷っている。


にほんブログ村 美術ブログへ
にほんブログ村
by papasanmazan | 2015-07-01 19:30 | 風景画 | Comments(2)
Commented by みみずく at 2015-07-09 11:46 x
毎日この画面を見ながらずっと言葉を探していた。当初から東洋的な印象がしてならなかったが、これは自分だけが感じているのかも知れない。画伯もコメントに書かれているが、一般的ではないが見れば見るほど深みにはまって行くのを感じる。仏教の言葉に”叡知界”という言葉があるが、このモチーフは画伯の絵画的叡知を掻き立て超感覚的な世界に導いて行く予感がする。
Commented by papasanmazan at 2015-07-12 23:44
みみずくさん、やはり自分の中には日本人の血が流れていると感じることがあります。特に禅の考えに近いものを絵画の制作上に見いだしたりする時にです。油彩という西洋の方法でありながら表現されたものの中に東洋的なものが現れる、これも一つの宿命なのかもしれません。
<< アルピーユの山 モデーヌの村 >>