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シオタの海

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カシィの海と同時に描いたシオタの海である。同じ地中海を描いた隣どうしの町ではあるがやはり絵にすると表情が違ってくる。松林におおわれた海岸沿いに赤い屋根や黄色や白のまばゆいようなシャレた家が建ち並んでいるシオタ、その向こうには特色のある岩をかかえた地中海が広がっている。海の色もエメラルドをたたえて美しい。見ていて穏やかな風景である。カシィの切り立った岩場から見おろした景色とは描いていても気分まで違ってくる。

地中海のひろがリは現実としてよく分かっているのだが、ここでは面を立ったように扱って平面性を強めてみたかった。色彩の力だけで海と海岸からこちらに続く陸地との差を現しながら全体としては平面を感じさせてみたかった。現実とは違った世界ではあるが絵画の中では意味のある世界である。同一平面の中に奥行きを表していくわけで、いってみればその作品を観ている時に手のひらで上から下へとなでていくような錯覚が与えられれば成功しているといえるのかもしれない。よくパントマイムで壁に閉じ込められている演者が手のひらで壁があるのを確かめている、あの手つきを思い浮かべてもらえればいい。

こういった触覚は大切なものだと思う。絵画にはマチエールと言って、絵肌とでも言ったらいいのだろうか、その画家独特の表現がある。たとえばルノワールのようなおつゆ描きとよばれる薄塗りの絵肌や、ルオーのような盛り上がった厚塗りなどさまざまである。そういった絵肌による触覚もあるが、また平面と言った意味での触覚もある。私個人としてはヴェラスケスの宮廷の侍女たち(ラス、メニナス)の絵などは深い空間を表しながら、大変現代的な平面性をも感ずるのである。

F12号油彩作品である。


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by papasanmazan | 2015-03-05 01:06 | 風景画 | Comments(2)
Commented by ono7919 at 2015-03-12 22:07
画伯の意図するところが 未熟な私にはこの作品からはうまく伝わってこない。いい作品を見るにはそれなりの勉強が必要で いつの日か”なるほど~こう云うことだったのか!”と思えるようになりたい。 
Commented by papasanmazan at 2015-03-13 00:19
ono7919 さん、この絵は描いていても難しいし、見てもらっても理解してもらい難い絵だと思います。平面性を強調するということで、平板さが目につき。馴染みの薄いものになってしまっています、それに加えてまだ表現力がついていかないために、見てもらっていてもどこに照準を当てて良いのか分からなくなる、といったところでしょう。しかしこの壁は破っていかなければ前進しないと思っています。
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