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白樺の林

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F12号のキャンバスに冬の白樺の林を描いてみた。葉っぱを落とした白い幹と小枝の集まった色の美しさ、それが青空のなかに映えてなおのこと美しさが増す。この場所も以前からよく描いていて、特に冬の今頃は車で走っていてもその白樺の一群には眼をみはるものがある。

画面を構成するものとしては主役の白樺の林とそれを取り巻く若干の緑、大地の要素として手前の草地、奥に垣間見える人家は色彩を添えようという少しの脚色、それに空の部分である。こういった要素は出来るだけ単純なほうがいいと常々思っているので出来る限り省略することにしている。たとえば添景人物など入れたことがない。

12号程度のキャンバスならさして大きいとも言えないのだが、やはりいつも全体、全体と心がけながら制作を進めて行く。この作品の場合では午後の二時から四時半位までがその日のうちの制作時間で、それを何度か繰り返して続けていく。そうして画面の密度が高まっていくと細かい要素は増々不要になってくる。見えてきて、そして描き込んでいくのはほとんど白樺の幹と小枝の輝いたような色、それに青空だけに集中されていく。それが押し詰まっていくと青空の中にある白樺なのか、白樺を取り巻く青空なのか、眼で実景を見ていても、自分の描いている画面を見ていてもほとんど忘我状態である。そして最後にはもうこれは同時なのだ、と実感するのである。これは何も冗談で言っているのではない、非常に大切なこと、絵を描く上での同時性という本質的なことなのである。青があってから白がある、白があってから青がある、それではダメなのであって、青と白が同時に、しかも同じ平面の上に存在しなければいけない。

この同時性と同一平面性、これだけをきわめていこうと、そしてそのなかに美を求めようとして様々な異なった主題を毎日繰り返して描いている、これも単純な画家の一生である。



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by papasanmazan | 2015-02-02 19:30 | 風景画 | Comments(2)
Commented by みみずく at 2015-02-08 14:46
変わらぬ理念のもと 日々進化していく画伯の作品に 怠慢な自分の目はなかなかついて行けず戸惑っていた。しかし何度か拝見していく中或る時目の前が開けたように見えてくる。見えてしまうとそれはもう確固たる画面として輝き始めるから不思議だ。まずは先入観なしに見る事だろうがこれが結構むずかしい・・・
Commented by papasanmazan at 2015-02-11 20:30
みみずくさん,何事もそうなのでしょうが、分かる、ということは一つの経験で、必用なことでしょう。絵を描いていてもやはり分かったことだけしか描けないものです。だから今の自分には何が欠けているのか。ということをよく考えておかなければならないと思います。
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