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トルソと蘭(第一段階)

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昨夜からの雪が積もって、道も我が家の階段も滑りやすく、犬も散歩に行くのをいやがっている。寒さはそれほどでもないが、景色もかすんで戸外での制作はおあずけである。あらたに室内で静物を組んでみた。ちょうど絵に描こうかと用意していた蘭がよく咲いている。鉢も二つあって、花の色も違う。白い花とうすい赤紫系統のもので装飾的にはなるだろう。そして一番の目的はいままでにもおなじみのトルソである。

このトルソはおそらくギリシャのパルテノンあたりの模刻だろうが、普通には余りお目にかかったことはなく、十年以上も前にルーブル美術館で求めた物である。筋肉のつくりが非常に美しい。ギリシャ彫刻にみられる量感はちょっと私たちには考えられないような美感があって、ロンドンの大英博物館の三美神は今でも忘れられない。現代のギリシャという国は凋落してしまってEUのお荷物になっているかのごとくであるが、グレコ、ロマンの文化はいまだに我々を圧している。

もう五十年も前になってしまったが、私が高校二年生の時に京都の美術館にミロのヴィーナスが陳列されたことがある。毎日、毎日それを観ようと長蛇の列で非常なにぎわいであった。ある日、学校を昼からサボッて親友と二人京都までそれを見に出掛けたのである。ニ、三時間の待ちだったろうか、やっと中に入ることが出来、螺旋状の階段を人の動きにつれて降りていくと、ヴィーナスの頭からだんだんと右肩、胴回りへと視線を移して行くことが出来た。

最後にフロアーに降りて全体が見渡せるようになるのだが、なにせ人、人ばかりでなかなかゆっくりとは観れるものではない、それでもなんとか最前列まで割り込んでいったのだが、その時の驚きようというか、ショックというのか、まるで自分の体に電流が流れたようであった。とくにヴィーナスのむかって左の腰のハリのところに眼が吸い付けられて離れられないのである。そして彫刻そのものの質感というのか,なにか大きな石のかたまりのザラッとしたような肌触りが私をとらえてしまったのである。

どのくらいの時間見続けたのかも分からなかった,外に出ると秋のつるべ落としでもう周りは薄暗くなっていた。丸山公園などを友達と歩いて帰ったが,とにかく本当の美術に触れて興奮しっぱなしだった。実はその時を機に私の人生も大いに変わったのである。進学校ではあったが比較的自由な高校にも、その時以来みょうに嫌気がさして、成績もがた落ちになったのである。

手持ちのトルソ、二つの蘭の花、それに青い布を使ってF12号に描き始めている。

by papasanmazan | 2013-02-12 20:21 | 静物画 | Comments(2)
Commented by 絵の初心者 at 2013-02-14 17:17
今頃気付きました。松樹幹の木々、黄土の木々、リンゴ、ザクロ、カップ、トルソ、欄の花とモチーフの全てが、メロディーを奏でているようで、画面全体が、活き活きとして感じられます。0号やSM作品がとても大きな作品に感じられます。これからも楽しみです。
Commented by papasanmazan at 2013-02-15 01:52
絵の初心者さん,私は画家でありながら、絵が好きで、好きでたまらない、というタイプではありませんでした。どちらかというと音楽や文学のほうが好きでした。ところがこの数年、やっと絵を描くことが楽しくなってきました、
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