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マザンの教会とヴァントゥー山(完成)

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2000メートル近くある大きなヴァントゥー山をF0号(18×14センチ)の小さなキャンバスに描いてみた。F0号は規格サイズとしては一番小さなキャンバスである。これも一つの絵画の楽しみだろうか、うんと大きなものを小さな画面の中に表現してみるということは。

風景であっても、また静物のいろいろなモチーフであっても最初にキャンバスの大きさを決めていくのはなかなか難しいものである。対象が大きいからといって必ずしも大きなキャンバスや紙が必要だとは限らない。赤ちゃんの顔は4号以下の小さなもので、大人の顔は10号以上の大きなキャンバスに描かなければならないとは決して決まっているわけではない。物と物との組み合わせ、人物の扱い方、自然の切り取り方、それを受け止める画家の感性でそれぞれのキャンバスが選択される。

小さな芥子の花にも全世界が宿り、小さな体の力士が倍ほどの体重のある大男を投げ飛ばす相撲の魅力もある。南仏の巨人とよばれるヴァントゥー山を小さなキャンバスに描き現すのはガルガンチュア物語の荒唐無稽におちいることもあるまい。そういうとラブレーの真骨頂まるつぶれであろうか。とにかくF0号の風景画である。

この絵は事情があって途中で制作を急いだのだが、それも一段落してから思い直してもう一度加筆していった。そうするとこんな小さな画面でもどんどん構築力が強まっていくものである。結局かなりの描き込みになり自分としては大変満足出来る物になった。セッカチな気性の自分を陶冶するにはこういった小さな画面もいいのかもしれないと苦笑ものである。

by papasanmazan | 2012-05-05 23:38 | 小さな絵 | Comments(2)
Commented by カワセミ at 2012-05-07 13:32
とても小さい画面と思えないほどうまく入っていますね~建物からヴァントウー山までの距離があり眼前に大地がゆったりと広がっているのが感じられとってもいいですね。先日無駄に大きな画面ばかりの展覧会を見てきた所で、どれも画面を持て余している感じがし絵て何だろうと思っていたところでした。この絵を拝見してちょっと納得。
Commented by papasanmazan at 2012-05-07 16:06
カワセミさん、小さな画面だけに関わらずこの頃の制作は以前と比べて少し意識が変わってきています。まだ、これと明確には出来ませんが、作品で何らかのものが示せていければと思っています。
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