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チューリップ(第二段階)


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F8号にチューリップと花瓶、その奥に小さな白いビンを添え物にした静物画、それほど難しくないはずなのだが、なんのなんの、これほど悪戦苦闘しようとは思わなかった。普通の意味でいって,形をとり、色を塗っていって明るさと暗さ,奥行き、ヴォリュームなどが保証されてきてできあがってくるはずなのである。


物が表現され,実在感が出てきて充足された空間をあじわうこと、視覚上の錯覚をもふまえて一枚の絵が出来上がるとはそういうことなのだろう。しかしどうしてこうモタモタしなければいけないのだろうか。
理由は分かっている,実在感に対する感覚が違ってきているからである。


たとえば花があり,葉っぱを緑で添え,花瓶を描いて絵を組み立てる、そして物それぞれの基礎的な面付けでヴォリュームをとらえていく。そういった個々の物という考えから隔たってきているのである。一枚の画面という考え,タブローという概念である。


一つの表された画面だけが存在する,と言っていい。これがなかなか理解出来ないのである、だからマラルメの詩が難しく感じるのである。ここを徹底して分かっておかないと、モナ、リザにはヴォリュームは感じるが,源頼朝像にはヴォリュームがない,などという議論に陥ってしまうのである。


画面ということではモナ、リザも頼朝もおなじことである。さてこのてこずっているチューリップ、どうすればいいのか,一つの答えは簡単である。花瓶が立てばいいのだと思う。判断はそこにしかないようだ。

by papasanmazan | 2012-02-10 11:40 | 静物画 | Comments(0)
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