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三つのカリン



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サムホール(22,7×15,8)のキャンバスに三つのカリンを描いてみた。葉っぱも添えた小さな静物画である。一昨年から知人がカリンをモチーフにと提供してくれたのがきっかけで、この素朴な果物を描くようになった。

今、市場ではシャインマスカットなどの色美しい果物が出回っているが、そういった果物からするとなんだかカリンは素朴な感じがする。目立った派手さは欠けているかもしれないが、テーブルに置いてじっくり眺めていると非常に実在感がある。形も個々の面白さがある。

今年の六月、個展で渋谷に赴いたが、町も人もすべてが人工的で、とても年寄りには近寄りがたい、疲れだけが残る現象だと感じた。何も渋谷に限ったことではなく、ちょっとしたにぎやかな町や盛り場も同じことである。そういったところから空気の澄んだ、自然に恵まれた場所に戻るとようやくホットする。カリンを描いていると何故か同じ気持ちになってくる。

# by papasanmazan | 2023-09-24 00:13 | 小さな絵 | Comments(0)

百日紅(2)




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庭の百日紅の花がまだまだ新しく咲いてくる。前に投稿した百日紅のパステルで一応描けたかなと思っていたのだが、違った花を見ているともう一枚描きたくなってきた。ご近所の百日紅を見ていると大きな木のものが多いのだが、我が家の庭の物はみな小ぶりである。白い花もある。

今回はもっと蕾を多くしてみようと決めて描き始めた。画面の中での花や蕾の動きを重視して、それを支えていくように色彩を考えてみる。描き初めにそういった意図を自分でよく見極めておくことである。とくにパステルなどはあまり描き込みが利かなくなるので十分な制作手順をわきまえておきたい。

小さな画面ではあるが出来上がったものは視線を引っ張っていくのにあまり無理はなかったように思う。

# by papasanmazan | 2023-09-15 18:04 | パステル | Comments(0)

夏の富士(青木平)


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いつも描きたいと思っている水彩画、これもいつも描きたいと思っている富士の絵である。特に夏の富士はなかなかその姿をのぞかせてくれない。冬の冠雪した富士はよくお目にかかるし、時間的にも長く描く事ができるが、夏の赤茶けた富士は色彩としてもとらえることが難しい。

しかし時としてこんなに夏でも色彩が鮮やかに出ることがあるのかという富士も見たことがある。これが長く続いてくれたらとは思うのだが、そうは問屋が下ろさない。南フランスに住んでいた時にも家のすぐ前に存在していたヴァントゥー山が冬の期間の何度かは山肌が目にも鮮やかに浮き出し、その色彩の微妙な美しさに圧倒されたことが何度かあった。

これからもいい機会を見つけて富士の美しさを永遠の中にとどめることができれば自分にとって最高の仕事になるのではないかと思っている。



# by papasanmazan | 2023-09-10 17:38 | 水彩画 | Comments(2)

竹林(3)




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竹林のパステルをまた描いてみた。今回が三回目のようになっているが若いころには数えきれないほど描いたものである。ちょうど大阪万博が千里で開かれ、そのころあれほど沢山あった竹林がドンドン切り倒され、開発に開発を重ねていた時代であった。自然破壊もいいとこで、竹林が真っ先に被害にあっていたようなものである。

時代がくだって現在日本に戻ってきたときに、関西から関東に住むところは変わったが再び竹林に巡り合って大いに喜んだものである。とにかくその姿を見ていると落ち着きを取り戻すことができる。そしてやはり描いてみたくなるのである。竹林のそよぎは制作にもってこいの題材だと思っている。

今回は少し小さめの画面で横に長いものを選んでみた。油彩で竹林を描いたこともあるが、どうもうまく表現できなかった。竹全体のふんわりとした柔らかさが油絵のネバッコイ感じと合わないような気がするので、どうしてもパステルを選んでしまうのである。おそらくこれはこれからも変わらないだろう、ただ新しく竹林の姿を追い求めていくだけである。

# by papasanmazan | 2023-09-06 17:05 | パステル | Comments(0)

杉木立(2)


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杉木立の連作で前作のP20号に変わって今回はもう少し大きくP25号である。イーゼルを立てる位置も実景の杉木立から少し距離をおいて後ろに退がり、少し高いところから見下ろしたところに決めた。実をいうと自宅の玄関前である。いつものようにたくさんの荷物を車に積み込んで出かけることもないので大変に楽である。朝早く、ほとんど日の出の後すぐに制作に取り掛かれて、それもいい条件である。

制作面では今回はほとんどを杉の木立で占めていき、いわゆる空間をほとんど感じさせないのであるが、その分、二次元性を強めることになり、ここでいつも言うところのヴァルールの認識が必要になってくるのである。色彩の働きが画面全体にいきわたり、その総合としてP25号のキャンバス自体の存在が手のひらに収まってくるような感じが大切なところである。

ルーブル美術館で最も大きな絵画作品であるヴェロネーゼのカナの饗宴でもヴァルールの観点からいえば平面という意味では手のひらに収まっているといっていいのである。このあたりはボードレールのドラクロア論をよく理解していれば応用のきいた考えになっていくと思う。



# by papasanmazan | 2023-08-31 02:58 | 風景画 | Comments(2)