<   2015年 12月 ( 4 )   > この月の画像一覧

卓上のザクロ

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水彩で試みていたザクロ三つの油彩がようやく出来上がった.F3号のキャンバスで、小さな画面なのだが相当に時間がかかった作品である。モチーフとしては水彩と全く同じだが油彩の進行はまた違ったものになる。特に物と物との接点、例えばザクロと机、ザクロとナイフなどの接するところが油彩の場合色彩の入り方が複雑になってくる傾向がある.

水彩の透明性でいうと余り色の重ね過ぎは的確なヴァルールが得られないという性格が出てくる.色の味としては魅力があるのだがヴァルールの確実さはやはり油彩のほうに利点がある。そのぶん油彩は制作が長くなっていくのだが、油彩はどんどん上から上へと色を重ねて修正が出来る、というのは間違った考えである.油彩も本来は透明感が主体となって考え出されたものであり、どちらかと言うと水を媒介とする水彩のほうがテンペラやフレスコ画と同じように膠を媒介とする日本画に近い不透明性が特色である。ただ透明水彩の場合は水を多く使って描いていき、原則として物の明るさを紙の地質の明るさを活かして現してゆき、白を混ぜた明るさを使わないということで透明感が残るのである。

油彩が不透明で、盛り上がった絵肌で、豪快な表現である、というのはとくに日本の近代絵画がその初期からたどって来た悪い風習だと思う.



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by papasanmazan | 2015-12-28 19:03 | 静物画 | Comments(2)

ピッコロと果物

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4号の短辺と長辺が1対2の細長いキャンバスに小さな楽器のピッコロを主眼にして、果物、布、皿、これも小さなミルク差しを配して静物画を一枚描いてみた。昨年からピッコロを時々モチーフに選び出しているが、なかなか気の利いた形で、小さな画面によくあっていると思う。

細長い特殊な画面で、気をつけないと画面が趣味的で、ケレン味のかったものになりそうである。ピッコロの置き方で横への動きはつくのだが、キャンバスの細長いところにもってきて横にばかり動きをつけるのはどうにもしまりの悪い話である。それで果物などで上下の動きを補おうとかなり念入りに構成してみた。

こういう場合、とりあげている物質ばかりに眼をとられていては駄目で、物と物との間に出来上がる空間を同時に感じ取っていかなくてはいけない。それらを平面的に扱おうと、立体的に扱おうと、同時の空間性として考えるわけである。だからもちろんピッコロを主眼にしていると言っても、制作している画家はたえず画面全体に気を配っているわけである。


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by papasanmazan | 2015-12-25 20:06 | Comments(2)

ザクロ、ナイフ、皿

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水彩の静物が続く。日本からフランスに戻るといつまでも時差が残り、なかなか疲れがとれなくて困る。年齢のせいもあるが、人疲れもある。それほどに日本の人ごみなどがこたえている。出来るだけはやく制作に戻ろうとは努力するのだが全力投球には及ばない。

家の近くの原っぱにまだザクロの実が残っていて、三つばかり失敬してナイフ、皿を並べて水彩を描いてみた。ザクロの赤が美しい。出来るだけ紙の地質をいかそうとするのだがついつい色が入ってしまって、これは水彩画の場合つねに念頭においておかなければならない問題である。絶えず明るさを紙の白に置き換えて考えながら色を重ねていく。透明水彩の場合は特にそれが必要である。そういった手際の修練をかさねていくと案外油絵の技法も分かってくるものである。

このモチーフについても水彩画に平行して油彩も始めているが、先に言った疲れのためにあえぎながらの制作である。



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by papasanmazan | 2015-12-08 12:06 | 水彩画 | Comments(2)

コルシカのみかん

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芦屋での個展を終えて無事フランスに戻った。今回はいつものルフトハンザではなく、エール フランスを早くから予約していたので、パリでのテロのすぐ後でもあり少し心配していたのだが、パリ、ロワシー空港での乗り継ぎの時でもほとんど平常どうりで、余り影響は感じなかった。

日本にいたときは11月にしては暖かく。個展の準備をするのには動きやすくてよかったが、一昨年と比べると紅葉の美しさが今ひとつだったのが残念だった。展覧会はにぎやかで、ご高覧いただいた方々にお礼申し上げます。

さて、制作に戻ろうと、いただきもののみかんがあったので小さな水彩に試してみた。これはコルシカ産のみかんで、ちょっと日本の三宝柑を小さくしたような感じである。個展の時に感じたのだがもっと水彩をやったほうがいいように思う。画面のリズムや動きの直裁性を養えそうな気がするのである。そういった訓練なり習作なりをふまえながら自分の理想とする芸術に達したいと思う。

三つのみかんとグラスと布だけでも充分に画題は成り立つ。



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by papasanmazan | 2015-12-04 17:00 | 水彩画 | Comments(2)