<   2015年 05月 ( 10 )   > この月の画像一覧

庭のシャクヤク

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長い間吹き荒れていたミストラルがようやくおさまってきて、庭に咲いている満開のシャクヤクをさっそくパステルで描いてみた、風で荒らされて何本かが折れている。棒を立てて補強していても花の大きさ、重さもあって可哀想に頭をかしげていた。室内の花瓶に挿して美しさは保っている。

シャクヤクや牡丹の花の勢いを表すのはなかなか難しいが、それ以上に品格をそなえたものにすることが作品の善し悪しになってくると思われる。花弁の細かいところばかりに気を取られてもいけないだろうがノッペラボウな花もいただけない。

大きな塊としての花と、その中の幾重にもなった花弁の描写のせめぎあいが制作の進行とともに大変へんかにとんだ表現になってくる。出来るだけゆったりとした気持ちで描くように心がけた。



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by papasanmazan | 2015-05-28 10:41 | パステル | Comments(4)

松と赤い屋根

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昨年からずっと描こうと思っていた松の木があって、その側を通るたびに色々な構図が考えられて気持ちが制作にばかりはやってきて仕方がなかった。その考えられる構図の一つが松の緑と、廻りにある家々の赤い屋根の対比をとりいれたものである。F12号の油彩での作品がようやく出来上がった。

とにかく苦労した絵だった。制作としてはスムースに続いていたのだが途中でどうにも進みにくくなった。自分自身の中で制作に対する考えが少し変化したからなのだろうが、実のところをいえばこういう時には思い切ってキャンバスを新たに描き直した方がはやい時もある。かえってそのほうが新鮮でさわやかな描き上がりになることが多い、というのも経験で知っている。

しかしそればかりではいけない、なんとかネバリとおして、立て直すところは立て直し、出来るだけ作品を一貫したものに見せ上げていく力も必要なのである。これも経験で知ったことである。随分重い気持ちになることもあるが次第に到着点が見えてくると制作もまた軽やかでリズミカルになってくる、これも一つの作品のあり方なのだと一息ついたところである。



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by papasanmazan | 2015-05-26 15:14 | 風景画 | Comments(2)

シャクヤク

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5月20日から吹き始めたミストラルが今も吹き荒れてとても戸外での風景画は続行できない状態である。外で絵を描くどころか外に出るのも躊躇するくらいの強いミストラルである。天気予報で前もって分かっていたので、庭に咲き始めたシャクヤクを少し切り取って花瓶に挿していたものを、F6号のキャンバスに油彩で写してみた。

何も作品だというわけではない、油彩によるスケッチといっていい程のものである。外のミストラルを尻目に終日この作業にかかってみた。こういった練習めいたもの、手の訓練、眼の訓練を私は大切なものだと思ってきた。作品を残す、ということも勿論画家として常に考えていかねばならないが、常日頃のトレーニングといったもの、画家としてはスケッチなりエボーシュ(粗描き)といったところの訓練めいたものである。

近代美人画の大画家、上村松園のその作品群の、数も質も眼を見張るものがあるが、画帳に残された毛筆によるスケッチも信じられないくらいの量である。しかも懸腕直筆という、手を紙から離した日本画の伝統的な筆の使い方によるものである。日常の画家としての日記のようなものであり、また一つの訓練である。決して作品の下絵だけを目指したものではない、下絵はまた下絵で存在するのである。

たしかサマセット モームだったと思うが、こんなことを読んだことがある、画家というのは才能によるものではない、あれは本能である、と。ご存知のようにモームの月と六ペンスはゴーギャンをモデルにした小説であるし、絵画にも精通して収集もしている。画家のこともよく分かっているはずである。文学者や音楽家とはまた違った能力を感じていたのだろう、それを本能だといってのけている。

先ほどの松園が手当り次第に画帳に描き留めていくのもほとんど本能的なものではないだろうか。もちろん松園自身に克己心があったのには相違ないだろうがそれ以前の何か、描くという本能を感じるのである。こういったことを私は若い頃に読んだ谷崎潤一郎の芸談という本で学んだのである。芸術というよりもまずは芸を磨く、といった考えである。細かいところは省くが、自分としては大変に影響を受けたところである。興味のある方はぜひ実読をおすすめする。

現代はコンピューターひとつで絵画までやってのける時代である。どれもこれも才能がきらめいて見える。音楽家などでも皆才能を全面におしたてたスターが続出し、ピアニストもすぐに指揮者に変貌してゆく。才が才を呼ぶようなものである。こんな時代に芸談などとはいささか時代錯誤、時代逆行もはなはだしいといわれるかもしれない。

しかし自分の学んだものはやはり学んだものである。私にはシャクヤクをスケッチする道をゆっくり押し進めてゆくしかないのである。



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by papasanmazan | 2015-05-22 19:45 | 風景画 | Comments(0)

卓上のバラ

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偶然楕円形の気に入った額縁を手に入れることが出来た。フランスの額はおおむね前面のガラスは入っていないし裏板もない。ましてや箱や黄袋などがついていることは皆無といっていい。日本の事情とは大いに違っている。日本で展覧会を催すことになると額縁のことで神経を使わされることが多い。まだ若かった時に、個展の会場でツカツカと歩み寄ってきた人がいきなり飾ってある絵を手に取って、額の裏を点検し出したのにはまいった経験がある。随分失礼な話だとは思ったが、気が弱かったせいで何も言い出せなかったのである。

ちょうど庭のバラがたくさん咲きそろっていたのでモチーフにして、卓上の静物画を描いてみた。楕円やその他、特殊な形の絵はそれなりに気をつけないとケレン味が目立っていけないと思う。宙乗りの義経千本桜は一度観れば充分のような気がしてならない。三味線の曲弾きもたくさんはごめんである

作品としては花瓶の白が大切な要素になっていると思う。眼を休めるための白の役割だけではなく、テーブルの面に対して立っているということの強さを強調するのに必要だと、これは最初から考えて描き終えたのである。おそらく楕円の6号くらいの大きさになるだろう、今手元に日本の額がないので何ともいえないところである。



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by papasanmazan | 2015-05-20 19:12 | 静物画 | Comments(2)

ボーセの岩場

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ボーセの村も一つの鷹の巣村で、集落が丘の上にかたまっているが、それに対面してやはり石を切り出した跡の岩場が奥のサン、ジャンという寺院のあるところまで続いている。岩場の下の所々に人家があってなかなかの景観である。五月ともなると緑に囲まれた岩や家の色彩の対比が絵心をさそってくれる。

日本神話の天の岩戸はいうまでもなくシジュホスの神話や、その他岩にまつわる話も多い。岩を描いた絵画もよく見かける。私も南仏に来てから、特に最近は岩を主題にするようになってきた。それだけこの辺りの地質の目をむいたような岩盤や石切り場の跡、またネスク渓谷のような絶壁などいたるところが興味の対象になってくる。

いわゆる風光明媚な美しいといわれる風景とは違った荒々しく、無秩序なものものの組み合わせ、そのなかにひそむ何か太古へ通ずるような思いというのが私の美観に働きかけてくれるようである。

F12号の油彩である。



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by papasanmazan | 2015-05-18 13:06 | 風景画 | Comments(2)

庭のバラ

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いつのまにか庭のバラも立派になって今年も大きな花が満開である。今はピンクと赤の花だけになったが、中には赤ん坊の頭ぐらいの大きさに咲き誇っているのもある。ちょうど午前中の光をうけて色のはっきり識別できる時間帯に庭にイーゼルを立ててみた。描こうとしている自分の位置が大きな木の陰になって、誠に快い条件である。

パステルでの制作になるが、とくに生きた花を描くのには都合がいい。制作のスピードといい、色の柔らかさといいパステルにおあつらえ向きである。

パステルというと一般的に軽い表現を考えがちだが塗り重ねやぼかし込みなど表現の幅もかなり広く、自分なりによく研究していく余地がある。いずれこのブログでも紹介できるだろうが、このパステル画の他に油彩の楕円形にも現在バラをモチーフにした静物画を制作している。最近になってそのバラの絵だけではなく油彩の制作全般に渡ってパステルでの技法が影響してきていることに気づいたのである。色の溶かし込みの部分に顕著で、今まであまり意識していなかった油彩の制作のなかで、ああここはもっと早く溶かし込んでしまって画面の構成に持ち込んだ方がいいと分かる部分がでてきたのである。その分制作も早くなったし、自分で整理した考えも持てるようになった。

セザンヌの晩年、パリの画商であるヴォラールがエクスにやってきて、その作品に圧倒もされ、賞賛もし、自分のパリのギャラリーでセザンヌの個人展覧会までやってのけて、いわゆるその芸術の理解者のひとりになるのだが、ヴォラールの一つの功績はセザンヌその人にその水彩画のすばらしさを高揚したことであり、セザンヌ自身、水彩の技法の油彩への応用を自覚したのもおそらくヴォラールの意見が一つのきっかけとなったのではないだろうか。ただしヴォラールの下心には商売気がかなりあったものと推察するのだが。

一つのことを徹底して追求していくと結果はそれ一つにとどまることなく、いろいろな派生した広がりをみせていくのも人生のおもしろさかもしれない。



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by papasanmazan | 2015-05-16 18:50 | パステル | Comments(4)

リンゴとレモン

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喉頭癌の治療を受けてから五年が経って、毎年の検査も無事にパスして一応は安心な健康状態、この年齢でも制作には意欲がわいてくる。アヴィニオンの癌センターで抗がん剤と放射線の治療を受けたのも過去のこととして今では記憶の一つとなってきた。治してもらった医学やお医者様には感謝しているが、その治療とは別に我が家では癌再発防止のために毎朝野菜ジュ-スを欠かさないで飲んでいる。私一人ではなく家内も健康のために飲んでいるし、大阪にいる独身の息子ですら飲んでいる。また友人たちに勧めたこともある。

私が癌ということが分かった時点で家内が何かのサイトでいち早くその野菜ジュースの効能を知り、早速試してみたのがこの五年間欠かさず飲むことになり、このサイトを立ち上げて多くの癌患者に希望を与えてくれた方とも個人的に知り合えるようになった次第である。本当に感謝している。

野菜ジュースといっても何も難しいものではなく、ニンジンをベースにリンゴとレモンを加えてジューサーにかけるだけである。ただ毎日続けることが肝心で、フランスはもちろん、日本でもどこに行くのにもジューサーを持参して365日飲んでいる。自然治癒力が高まって癌細胞が再発するのをやっつけてくれるようである。

だから我が家にはニンジン、レモン、リンゴが常にたくわえてある。その中からちょっとリンゴを二つとレモン一つを失敬して静物画のモチーフにしてみた。サムホールの小さな画面である。



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by papasanmazan | 2015-05-14 15:38 | 小さな絵 | Comments(4)

ボーセの風景

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随分久しぶりになるがボーセの村をP8号のキャンバスに描いてみた。南仏に越してきて、割に早い時期にボーセの風景に魅せられてよく描いたものである。なかにはF50号の大きな村の全景を描いて大阪のあるデパ-トでの個展に出品したこともある。あの頃は対象になる風景にくらいついて描いていたような印象が残っている。風景自体にも慣れていなかったし、描いている自分も違った感じの制作だったように思う。体力的にも違いがあるのかもしれない。

このP8号のものになると対象を目の前にして描き始めから終わりまで首尾一貫、戸外、現場で描いていても随分現実離れのしたものになってきている。長い間自分の理想とした考えであって、これでいいと思う。ただしレアリティが失われてはならないのである。繰り返し、繰り返し云ったり考えたことではあるが、レアリティといっても対象になるもののレアリティではない、画面としてのレアリティなのである。

その画面としてのレアリティというものをぎりぎりの言葉で説明しようとすると、同一平面上に同時空間を表す、ということになる。

以前のF50号の作品は大阪の義兄の家の玄関に飾られている。今その絵を観たら一体どんなふうに感じるだろうか。



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by papasanmazan | 2015-05-11 00:03 | 風景画 | Comments(0)

スプーンとフォーク

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日常の生活に欠かせないスプーンとフォーク、何気ないものだがこの二つをモチーフにして、南仏風の布の上に置いてF3号のキャンバスに描いてみた静物画である。ちょっと食卓の雰囲気をただよわせるのに花や砂糖入れを奥に添えて、いつもの画面よりも少し甘い感じにねらいをつけてみた。

しかしやはり自分のクセというのか、描き進むにつれてどうしても構成的な、かたいものが出てきて仕方がない。雰囲気のあるやわらかさというものがどうしても性に合わないのだろうか、スプーンやフォークの角度とか花瓶の傾きなどが目について、とうとう息のつけないような一枚の静物画が出来上がってしまった。



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by papasanmazan | 2015-05-06 19:44 | 静物画 | Comments(2)

アイリスとリラ

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庭に咲いているアイリスとリラを花瓶にさしてパステル画にしてみた。毎年この時期にはアイリスがよく咲くがリラの木も大きくなって、花も随分きれいに咲き出してきた。紫の濃いアイリスにやわらかなピンク系のリラの取り合わせで、地の色はオレンジ系の紙を使っている。

アイリスの花から下方にむかってリラに続くムーブマンだけをたよりに、いわば紫の濃淡をパステルで表わしていこうという考えで進めてみた。葉っぱや茎の緑の色を少しのアクセントに利用して全体をおさめてみたのだが、紫と緑の補色の関係から緑の量をおさえ、主なる色調は紫ということを常に考えたものである。





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by papasanmazan | 2015-05-04 02:48 | パステル | Comments(2)