カテゴリ:風景画( 310 )

冬のヴァントゥー山







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久しぶりのF30 号の制作である。我が家から二分ほど歩いたところの原っぱの中にイーゼルを立てたのはいいが、とにかく風との戦いである。ミストラルが吹きまくると30号の大きさになるととても描いてはいられない。キャンバスを固定したイーゼルごと吹き倒されてしまうので、制作できる日を選んでいかなくてはならない。

奥のほうに大きなヴァントゥー山が控えているのだが、手前にはいたるところにアーモンドの木が生えており、またさまざまの木立の群れが重なり合っている。それらが視界をさえぎってヴァントゥー山が切れ切れに姿を現してくる。それならばもう少し場所を変えればいいのかもしれないが、実はこういう木々をふくめた風景を描いてみたかったのである。

もう十年以上前からこのような構図を意図して、なんどか冬になるたびに挑戦してみてはいたのだが、とにかく難しかった。途中までは何とか進められるのだが最後まではかなわなかった。木々を含めた風景というよりも木々を透かした風景といったら良いのだろうか。一つ一つの要素としての木々や群れではなく、山も空も原も木々も、全体を一つと感じながら制作してみたかったのである。ほとんど無差別の知覚を働かせながら、それがどういう結果をもたらすのかを自分で試してみたかった。

夏の葉が茂った木々のい重なり合いと山との複合したものも、この透かしたような風景という感覚でもって理屈的には可能なはずである。

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by papasanmazan | 2018-02-18 19:17 | 風景画 | Comments(1)

冬の野の風景



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昨年の春見つけた少し段々になった畑と農家の構図が気に入って、すぐにも描こうと思ったのだが、その時はすでに若葉が芽生えてきてやがて緑一面になるのが分かっていたので今年の冬まで一年間待っていた。この景色は冬の枯れた色で描きたかった。その風景が安定したのでさっそくP8 号のキャンバスに始めてみた。

背の高い白樺の木が何本かあって、それで垂直性はすぐに得られる。その高さを支える水平の要素が家や畑や道、背景になる山などにあるのだが、モチーフになる自然の中からこちらの要求で選択しながら制作を進めてゆく。晴れた日の枯れた色彩は美しかった。あまり説明的にならない筆さばきの内に制作を終えた。

家内と二人で先週、スペイン、マドリッドのプラド美術館にわずか二泊だけだがベラスケスを観に行ってきた。2013年以来二度目である。前回は作品を見ていくのに焦点が合うまで時間がかかったのだが、今回はすぐに作品がくっきりと壁にはまっているのが掴み取れた。この美術館はスペイン絵画の宝庫でもあるし、その他フラ・アンジェリコ、ラファエロ、ティツィアーノ、リューベンス、デューラー等々名作ぞろいである。出来るだけ満遍なく見ようと心がけて行ったのだが、やはり前回同様、今回も観たのはほとんどベラスケスだけ、というよりもラス・メニナス(宮廷の侍女たち)と皇女マルガリータの二点だけである。

しかし丸一日かけてこの二点だけを見てすっかり満足した。今回で完全にこの二点の画面性が理解できた。この二点の壁面だけは作品が壁と同列にある。これが完全にタブロー性なのである、平面性なのである。他にも沢山あるベラスケスのなかでもこの二点は意味が違っている。大変に貴重な時間で、これほど贅沢な経験はないと満足している。

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by papasanmazan | 2018-02-09 01:10 | 風景画 | Comments(2)

冬の木々


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冬になると葉を落とした木々の姿が美しく空間に映えてくる。毎年のようにそんな姿を制作しているが、今年もF20号の大きさで油絵にしてみた。今までは木々を通して遠景に家やその他の道具立てになるようなものを取り入れて絵にしていたのだが、今回はまったくそういった飾り立てはなく、まったくの木々の姿だけである。

つまり絵にするという意図ではなく、ほとんどが自由な生成にしたがって、自分の意志というよりももっと違った、何か遠いところを見据えたような気持ちで終始制作してみたのである。説明的な要素もあまりないので、どういう具合に制作が進むのか自分でも不安はあったが、思っていた以上の成果が出てきたようである。

最近よく読んでいるもので、特に老子に魅かれている。若いときから禅の本はよく読んできたが、それが老子を読むのに大変に役立っている。自分というものを立てない、終始一貫その自分のないところを求める、そこに道がある。その道、それを良く掴み取れば全てが上手く行く、何の不安もない道である。

その第二十二章の最後の句、〔誠に全うして之を帰す〕、よく道をわきまえて最後は自然の中にそのまま帰る、といったような解釈でいいと思うが、そのような自然な自分というものを絵にすることが出来れば、といったような意志でこの作品を描いてみた。

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by papasanmazan | 2018-01-30 01:43 | 風景画 | Comments(4)

ヴナスクの村遠望






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ヴナスクの村をかなり離れたところから見た風景である。季節を変えてこの風景を幾枚かは描いてきたが真冬の色彩がなかなかきれいである。手前にはサクランボウの果樹園が連なって、葉っぱを落とした枝々が赤く広がった色面が魅力的である。これが夏ともなると緑の連続で、色彩的には冬のほうが多彩である。今回はM10号のキャンバスを使った。


制作に関してこのごろ自分ながらに変わったと思うことが一つある。それはほとんど完成というときになると以前はいかにも慎重に筆を運んで、これでようやく完成した、という終わり方をしていたのが、最近は仕上げの段階に近づくにつれだんだんと筆使いが速くなり、割合に細かいところなどにこだわらずに、勢いがついた状態で完成させていくようになって来た。ちょっとはたから見ると慎重さに欠けた感じがするかもしれないが、自分としては制作の始まりのリズム以上の新鮮さが心の中から筆に伝わっていくようで、今は大変に制作が楽しいのである。以前は完成時は気の重いような、息の抜けないような制作だったが、随分変わってきたものである。


余談ではあるが文楽の一つの劇の終わりのあたり、要するにクライマックスのところを段切りという。ここは重要な見せ場であるから実力のある太夫と三味線が勤めるが、そのなかでも最も最後の演奏のところは、これが最後、ということで曲まわしも速くなり、音も派手になってくる。とくに三味線弾きなどには腕の見せ所で、大変にリズミカルになってくる。これが下手な三味線弾きだとまったく盛り上がりに欠いた終わり方になって、全てがだいなしになってしまうのである。これでは観客を満足させるわけにもいかず、昔の大阪の客なんかだと、金かえせ、とくるところである。


この段切りのコツ、これが絵画の制作の終わりにあたって、何とか生かせないかと常々考えていたのである。現在の制作で少し思いが生かせるようになってきた感がある。

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by papasanmazan | 2018-01-25 01:44 | 風景画 | Comments(2)

赤い森の中の岩


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先日もこのブログに投稿した赤い岩の絵と同じ場所で、少し角度を変えて、キャンバスも大きくF25号、縦型に使った構図でもう一枚制作してみた。繰り返し言うことだが、一枚の制作を終えるとその同じような主題でもっと追求してみたくなるのが造形意欲というものかもしれない。この赤い岩などもその表れで、繰り返し自分の感覚を試したい気持ちになる。


岩の組み合わせによる垂直感を考えてみた。そこに木の幹や枝がかみあってきて、表面的には森の中の一情景と見られるのだが、中身は縦に連なってゆく垂直の流れである。岩の体積や重さなどを色彩で現していくのだが、問題はそれよりも縦に連なっていく岩の重なりどころの輪郭線をどのように面に食い込ませていくのか、またどのように線としての独立性を見せていくのか、そのあたりの画面上での色彩を含めての操作が造形感をひきたたせていくわけである。


できるだけそれをダイナミックな状態の画面として残してみたかった。それらを保障するヴァルールとしては満足しているが、少しまだ絵になりすぎているようで、その点には不満が残る。もっと絵としてよりも画面の存在感がほしかった。おそらくまだ自分に甘さがあるのだろう。




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by papasanmazan | 2018-01-17 17:35 | 風景画 | Comments(2)

白い岩







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赤い森の中の岩も制作の題材に格好だが、石を切り出した後の白い岩も絵心をそそる。久しぶりに大きな白い岩の場所にイーゼルを立てて、冬の寒い中ではあるがF15号のキャンバスに描いた油彩である。絵を描く角度も少し違えば出来上がってくるものも表情がかわってきて、それに筆使いなども以前よりは軽くなってきたのかもしれないが、全体の感じとしては楽な印象になってきているのではないだろうか。


いつものように何枚かの作品を平行して制作しているのだが、最近のものは見た目には軽くて、あまり描き込みもないあっさりしたような製作過程だが、実は描くのがこんなに難しいのかと思わされる位、考えに考えての毎日なのである。文章にするのもまた難しくてかなわない。

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by papasanmazan | 2018-01-05 20:56 | 風景画 | Comments(6)

冬のヴァントゥー山と白樺林






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芭蕉の発句も難しいが連句となるとなかなかとっつきにくく、大変に好きなのだが時間をかけて少しづつ慣れるようにしている。最近はそれでもかなり面白さが分かってきたようである。そのなかでも芭蕉七部集の幸田露伴の評釈が大変に勉強に役立ってくれる。今秋の一時帰国した折に日本から持ち帰った本のなかにつめていたものである。七部集のそれぞれの名前もいいが、今の季節を踏まえて〔冬の日〕をよく読んでいる。


それを特に意識したわけでもないが冬の日のヴァントゥー山と、手前に広がる白樺の林を構成材料にしてF8号のキャンバスに描いてみた風景画がこれである。いままではなんとなく白樺の木や林などを描く時に硬くなっていた腕が最近はようやく自由さを得てきたようで、軽く、楽しみながら画面に溶け込ませるようになってきた。木の幹の白さにこだわりすぎていたのであろうか,木や林全体を一つの要素に考えていくと急に色面としての役割が強まったようである。


別に読書が自分の仕事の絵画に特別に役立つのかどうかは分からないが、趣味としては音楽を聴くのとともに本を読むのも大変に好きである。

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by papasanmazan | 2017-12-25 02:29 | 風景画 | Comments(2)

秋色のこぎり山






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日本での個展がおわってフランスに戻ってみると、まだ秋の景色である。例年よりもかなり早い時期に見る晩秋の色彩はなにか悲しみを感じさせるような美しさである。


こころなき身にも哀れは知られけり、鴫立つ沢の秋の夕暮れ   西行


以前からこのような秋の、とくに晩秋の色を強調した絵を描いてみたいと思っていた、はからずも家に帰ってすぐに目にした風景がまさしく思わくどうりなのでさっそくF4号の小さなキャンバスに制作してみた。


かなり省略ができるようになっていると思われる作品になった。

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by papasanmazan | 2017-12-17 20:02 | 風景画 | Comments(2)

赤土と松






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日本での個展を無事に終え、今年は例年よりもはやくフランスに戻ってきた。個展ではたくさんの方にご高覧いただき有難うございました。ご意見なども参考にまた、新たな制作につなげていきたいと思っています、よろしくお願いいたします。


年齢とともにとにかくフランスに戻ってからの時差がきつくなって、日本から持ち帰った本なども読んでいるうちにすぐに眠くなってかなわない。ようやく一週間が経って平常になってきた。制作に戻る。


やはり赤土の場所が制作再開に一番適した感じがする。制作の簡単なメモのために毎日日記をつけているが、今年の5月5日に特寸の赤土の森の制作が記してある。この場所は栗の木が多く、5月頃になるとのの栗の葉の緑が赤土をおおってしまって、この日付でいったん制作を打ち切った記憶がある。その途中になった画面を続けてみた。


急にヴァルールがあがったように思う。日本から個展後に戻った制作でいつも経験することである。おそらく個展の会場で自作を見ながら何かを得ているのではないだろうか、帰りの飛行機でいつも期待と不安があいまってくるのである。この冬は赤土の制作に追われそうである。


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by papasanmazan | 2017-11-28 19:36 | 風景画 | Comments(2)

ベドワン街道の松


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そろそろ日本での個展の時期に近づき、一時帰国するための用意のためになんとなくあわただしいが、制作のほうはそれとは関係なく続けている。いつものことだが個展の出品作に追われるということは皆無である。



久しぶりにベドワンの街道沿いの松をF12号に描いてみた。ここの道沿いの松は背が高くて、姿も美しくそろっていたのでマザンに引っ越してきて以来すぐに描き始めたのだが,久しぶりに行ってみると随分悪くなっている。車の通行量も多くなっているのだろうし、樹齢もかなり経ってきているせいかもしれないがかなりの数の松が抜き去られている。



これはいけないと思って予定外ではあるが、まだ美しさのあるうちに作品にしておこうと思い立った。おそらくこの12号の作品だけではなく、日本での個展が終わってマザンに戻った後で何点かは続けようと思っている。そのためにも現在場所探しにおわれている次第である。


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by papasanmazan | 2017-10-12 23:47 | 風景画 | Comments(2)