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岩と家(第二段階)

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岩の表現が難しいというのが分かってきた。面取りをしていくのはさほどでもないし、色彩におきかえていくのもまずは無難に進めていけるだろうが、そういった分析的な捉え方ではなく、本質的な存在にまで押し詰めていきたいのである。

美術の二大要素は形と色である、そしてこの二つをああでもない、こうでもないと組み合わせながら一枚の絵画を仕上げていくのが画家の仕事であるが、分析的に理解した物と物の関係を総合的に一枚の平面の中に組み立てていく。

そこまではどの画家も一様に取り組んでいく仕事の仕組みなのであるが、さてその先きはとなると皆それぞれの欲求が違ってくる。一般にはそれを個性とよんでおいていいのだろう。同じ主題、同じモチーフを使っても種々、様々な絵が出来てくる。

同じ岩を描いてもそうだろうと思う。私に一番身近に思い出されるのはなんといってもオルセー美術館のクールベの絵である。エトルタの海岸だけではなく、森の中の鹿を描いた作品のちょっとした小石にいたるまでのレアリティーにひかれるのである。

クールベのナイフを使ったような荒々しい表現の物質感などはまさしく西洋絵画だと納得させられる。時間と空間をもとにした存在感である。しかし私には近年、どうもこの存在感から離れていこうという欲求が強く働くのである。

by papasanmazan | 2012-03-20 01:51 | 風景画 | Comments(0)
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