家の近くの柚野から白糸の滝にかけては棚田の多い所である。日本の狭い国土を考えると棚田が多いのはうなずけるが、あちらこちらで棚田の名所があるようで、この柚野もその一つである。その棚田の向こうに大きな森をはさんで富士が顔ををのぞかせている。日本の情緒を感じる風景である。 あまり名所、旧跡を描いてみたいと思ったことはないが、この富士と棚田には惹かれてF10号のキャンバスに描いてみた。棚田から発想される様な情感やなつかしさといったような感情を表現しようと思うのではなく、画面上の明確な構成の一つの要素として考えてみたかった。 画面上部におおいかぶさった富士の容量を手前に配置した左から右上がりの角度を持つ棚田で受けていこうと意図したものである。棚田の細部に至る段々などにはあまり重きを置かないようにした。 #
by papasanmazan
| 2024-03-16 17:27
| 風景画
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サムホールの大きさ(22,7×15,8)に三つの西洋梨をモチーフにして水彩を描いてみた。これは実は以前描いたことのある水彩画をもとにして、もう一度同じ大きさ、同じテーマで描き改めたものである。元の作品になっている梨の個々が少し大きすぎて画面が窮屈な感じになっていたのが気になって仕方がなかったのである。
フランスから本帰国し、また山梨から静岡に変わってそのたびにアトリエの片付けなどをしていると、思いもかけずに旧作を見つけたりもする.そして懐古にふけったりもする。時にはその作品の中身を考え直したりもしている。これはもっと追求出来たろうにと思いなおす場合も出てくる。そのような中でこの一枚を描きなおしてみたのである。 川端康成の「十六歳の日記」という作品は自分の中学時代(旧制)の古い日記を偶然見つけ、その内容に眼を見張って作品として世に出したものである。その旧制の茨木中学、現在の茨木高校は私の母校でもある、だからこの作品に出てくる内容や地名などはかなり親しいもので、特に私はこの作品が好きである。また川端康成その人がこの古い日記を見つけたのは大きな意味があると思っている。自分の作品のもとになっている資質をこの日記の中に見出しているのではないかと思うのである。セザンヌがさかんにタンペラマンと言っているのはこの資質のことだと思っている。 #
by papasanmazan
| 2024-03-15 02:04
| 水彩画
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春めいてきて外での制作もだいぶ楽になって来た。山梨にいた時よりも気温が高くて、その分動きやすい。制作場所もかなり見つかってきて、特に日本風土に欠かせない竹林の多いのがうれしいところである。
家からも近い柚野や芝川あたりで描いてみたいと思う竹林にたくさん出会ったりする.芝川は竹の子の名産地だそうで特にこれからの季節は楽しみである。それから大きな流れの富士川に沿って車を走らせるといたるところで竹林を見かけることが出来る.どれもこれも描くわけにはいかないだろうが、とにかく制作場所には事欠かない。 若い頃から描いてきたパステルを使った竹林もフランスにいる間はとんとご無沙汰しまっていた.個展で一時帰国していた時に注文があってほんの三枚ほど描いた記憶があるだけだった。これ絵からは地の利を生かして出来るだけ描き残そうと思っている。 #
by papasanmazan
| 2024-03-09 23:42
| パステル
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雨の冬の一日、アトリエで静物画を描きながら時々窓の外をながめたりしている。雲が立ち込め空には光の様子もなく、聞いている音楽までが何かわびしく響いてくる。ハイドンの明るい交響曲もどこか取り付く島もないような時間を感じさせるのである。
窓から見える庭の向こうに大きな欅の木が見えている。美大生の頃から冬の裸木になった欅が好きだった。特に関東の欅の並木は美しく思う。忘れていたその木をさっそく水彩で描いてみた.F3号の大きさである。 家や木、残っている緑の葉などを取り入れているが頭の中はほとんど冬の景色一般の情景である。それほどに欅の思いでは冬につながっている。グレーの重い空に少し赤みを帯びたダークオークルの木の色調は武蔵野の情緒を忍ばせてくれる。 #
by papasanmazan
| 2024-03-03 23:38
| 水彩画
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40年ほど前になるが富士山の周りを巡りながらかなりの数の油彩やパステル画を描いたことがある。富士の制作にとりつかれたのはそのとき以来である。ちょうど朝霧の大沢崩れの直後のことで、荒々しい地肌を見せつけられたり、忍野富士の雪の形に魅せられたり、本栖湖の深さを感じたりしながら最後に伊豆の方へ回っていった。 その伊豆の戸田や大瀬崎から海を挟んで遠くに見える富士の姿も油彩にした。かすんで見えにくい日もあったが満足できる制作だった。富士を背にして前に見えるのが愛鷹連山、その時初めてお目にかかったのである。 現在の青木平からは左にノッポの富士が位置して右に愛鷹の連山が視線を引っ張っていき、それが駿河湾の方まで続いていく。大きな、大きな美しい流れである。いくらでも画題が得られそうな場所に巡り合った。愛鷹連山 M15号で、初めての油彩である。 #
by papasanmazan
| 2024-02-25 08:18
| 風景画
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